出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~STORY #034

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奥出雲たたら製鉄及び棚田の文化的景観 出雲國たたら風土記 出雲國たたら風土記
金屋子神社 出雲國たたら風土記 出雲國たたら風土記
田部家土蔵群 出雲國たたら風土記 出雲國たたら風土記
飯梨川と赤江の新田開発 出雲國たたら風土記 出雲國たたら風土記
菅谷たたら山内 出雲國たたら風土記 出雲國たたら風土記
日本刀 出雲國たたら風土記 出雲國たたら風土記

2024.03.13

一般

出雲國たたらストーリーの楽しみ方

強みは点在と多様性

「出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~」は、たたら製鉄という砂鉄と木炭で鉄をつくる、日本で独自に発達した製鉄法です。

かつての出雲国、藩政時代の松江藩のエリアではこのたたら製鉄か盛んに行われ、最盛期には日本の鉄の半分近くを生産していました。

そのため、構成遺産は広範囲に点在し、31にも及びます。
原則非公開のものや、神楽や民謡、季節のお祭りなども含まれ、テーマも多岐にわたります。

広域性とテーマの多様性が、この日本遺産の回遊を困難にし、わかりにくくしている点でもあるのですが、その多様性により様々な切り口から楽しめることが、一番の強みと魅力だと思っています。

ストーリーをどう体感するか

広域で公共交通も整備されていない「出雲國たたら風土記」のエリアでは車を使った周遊が中心となりますが、国道や主要地方道、農道、林道が混在したエリアで、自動車のナビゲーションもあまりあてにはなりません。

今回は、そんな手ごわい日本遺産のストーリーを体感するポイントをいくつかご紹介します。
①ビジターセンターを活用しよう
和鋼博物館(安来市)と奥出雲たたらと刀剣館(奥出雲町)がビジターセンターの役割を果たします。

特に、奥出雲たたらと刀剣館は、「奥出雲のたたらの歴史と特徴」「今も操業を続ける日刀保たたら」、「玉鋼からつくられる日本刀」、「たたらの生産性を上げた技術の秘密」など、日本遺産のストーリーに沿ったわかりやすい展示が行われています。
②景観を楽しむ、食を楽しむ
「自然と共生した産業、たたら製鉄」を体感できる景観があちこちに残されています。
奥出雲町の景観は、たたら製鉄の歴史を感じることのできる「国の重要文化的景観」に指定され、地域の人たちがビューポイント、展望台などを整備されています。

でも「一見するとありふれた農村景観」でしかありません。
奥出雲たたらと刀剣館で「文化的景観マップ」を手に入れ出かけてみてください。
地図ではわからないことは、地元の人に聞いてみましょう。

また、近くには、在来種のそば「横田小そば」を使ったそばや奥出雲和牛を堪能できるお店もあります。
たたら製鉄が育んだ食を楽しむのもポイントの一つです。

絲原記念館では、「鉄師のおもてなし料理」を再現・徹しの館で楽しむ企画も開発中です。
③鉄師の資料館を活用する
「絲原記念館」(鉄師絲原家の資料館)と「可部屋集成館」(鉄師櫻井家の資料館、重要文化財櫻井家住宅、国の名勝櫻井氏庭園の入口)はたたら製鉄の歴史や、農鉱一体となった地域開発の仕組みを知るには必須です。
何よりもそれぞれの佇まいが貴重な文化遺産です。

他にも、奥出雲角炉伝承館(たたら製鉄の発展)、安来市歴史民俗資料館(月山富田城の歴史)、鉄の村歴史資料館(吉田の街並み、大鍛冶と鉄の流通)、奥出雲多根自然博物館(奥出雲の地質を知る)など特徴やテーマを深堀した資料館があります。
これらの資料館を巡るのも楽しみ方の一つです。
④吉田の町並みと菅谷たたら山内は必須
菅谷たたら山内は、唯一現存する江戸時代のたたら場「菅谷たたら」を中心に、管理施設や米蔵、働く人たちの長屋など生産と生活が一体となった空間です。
さらに近くには萱ノ鉄穴場跡もあります。

吉田の街並みは、田部家土蔵群や、鉄の歴史博物館、大鍛冶屋跡など構成遺産を歩いて回れるスポットですが、何よりもたたら製鉄と地域の繁栄を体感することのできるスポットになります。
また、近年小さなギャラリーやカフェの整備も始まっています。
この日本遺産は「何度も足を運ぶ」というのが大切なポイントとなります。
手ごわい日本遺産ですが、それだけに魅力もいっぱいです。
ぜひお越しください。

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