祈る皇女斎王のみやこ 斎宮STORY #007

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さいくう平安の杜 さいくう平安の杜 さいくう平安の杜

2026.03.23

一般

全国のサイトウさん必見! 斎宮と初代斎藤

 全国に約52万人いるといわれる「サイトウ」さん。その苗字の故郷が、実は三重県明和町にあることをご存じでしょうか。
 「サイトウ」という苗字には、平安時代にさかのぼる古い歴史があります。そして、明和町にある「斎宮」こそが、その発祥地とされているのです。今回のコラムでは、「サイトウ」さんの名前の起源にまつわる、斎宮の知られざる物語をご紹介します。

斎宮とは

 明和町には、日本遺産「祈る皇女斎王のみやこ 斎宮」があります。古代、伊勢神宮にお仕えする皇族の女性「斎王」が暮らした「斎宮」というみやこが、この地に存在していました。
天皇の代が替わるたびに、占いで選ばれた皇族の女性が「斎王」として都から赴任し、伊勢神宮に仕えました。斎宮はたいへん広く、斎王のお役目を補佐するために500人ともいわれる多くの人々が暮らしていました。そこに住む人々は「官人」、現代でいえば公務員にあたります。
その多くの官人を統括したのが、斎宮寮の「頭(かみ)」、すなわち長官でした。長官も都から赴任することが多く、平安時代中頃にこの職に就いたのが「藤原叙用(のぶもち)」という人物です。

初代「斎藤」の誕生

 長官は男性貴族(従五位下(じゅごいげ))が務め、伊勢国司(いせこくし 現在の三重県知事に相当)を兼任することも多い、重要な役職でした。叙用については記録が少なく、国司を兼任したかどうかは定かではありませんが、斎宮全体を統括する任に就いていたことは確かです。
叙用の父は「藤原利仁(としひと)」。関東・東北の鎮圧を担う鎮守府将軍も務めた、当時有力な武人系貴族でした。
一説によれば、武士でありながら文官職である斎宮寮長官に就任したことは珍しく、めでたいことであったため、これを記念して叙用が「斎宮寮頭の藤原」を縮めて、初代「斎藤」を名乗ったとされています。父・利仁は「斎藤家の祖」とされ、以後、斎藤家は加賀・越前など北陸を中心に武家として発展していったといわれています。

斎宮で初代斎藤をたどる

斎宮では、初代斎藤ゆかりの場所をめぐることができます。
さいくう平安の杜
 初代斎藤が斎宮を統括した仕事場が、「さいくう平安の杜」です。発掘調査で発見された斎宮寮長官の館を復元したこの区画は、当時「中院(ちゅういん)」と呼ばれた斎宮の中枢部にあたります。斎宮の特徴でもある檜皮葺(ひわだぶき)の屋根をもつ正殿・西脇殿・東脇殿の3棟が復元されています。
 貸出用タブレットで斎宮バーチャルリアリティーを体験すると、中心に赤い装束の男性が映っています。これが長官=初代斎藤です。映像では「祈年祭(きねんさい)」という儀式が再現されており、斎宮の中で唯一の男性貴族として、儀式を統括する姿を見ることができます。

さいくう平安の杜

斎宮バーチャルリアリティー

さまざまな「サイ」をたどる

「サイトウ」の「サイ」の字は、30種類以上が混在していることが知られています。斎宮には、そのさまざまな「サイ」が石碑などに刻まれており、実際に確かめることができます。
斎王の森の石碑
 地元で古くから大切に守られてきた斎宮の伝承地「斎王の森」。中央に立つ1968年建立の石碑には「齋王宮阯」と刻まれています。その隣には1929年建立の「史蹟齋王宮阯」(碑の「齋」の字は異体字)があり、同じ場所に建つ石碑でも「サイ」の字が異なっていることがよくわかります。

斎王の森石碑

史蹟齋王宮阯の石碑

『伊勢参宮名所図会』抜粋

江戸時代の史料に見る「サイ」

 江戸時代の史料『伊勢参宮名所図会』では、さまざまな「サイ」の字を使って斎宮が紹介されています。くずし字や現在では使われなくなった字体も見られ、こうした多様な表記が現在の混乱の根本的な原因と考えられています。

斎宮之印

平安時代の「サイ」

 平安時代の「サイ」は、斎宮歴史博物館で確認することができます。1054年に斎宮寮が発行した文書「斎宮寮解(さいくうりょうげ)」に押された印(斎宮之印)には、現在では使われていない字体の「サイ」が刻まれています。
ぜひ、斎宮へ
 広大な史跡公園「史跡斎宮跡」には、ほかにも「サイ」の字が刻まれた場所が点在しています。また、公園内の「いつきのみや歴史体験館」では、初代斎藤と同じ古代衣装の貸し出しも行っています。公園の散策とあわせて、ぜひ古代の雰囲気をお楽しみください。
 全国の「サイトウ」さん、そしてサイトウさんのご縁のある方も、ぜひ「サイトウ」のルーツを確かめに、三重県明和町の斎宮へお越しください。皆さまのお越しを、心よりお待ちしております。

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