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2022.11.30

文化庁

「日本遺産フェスティバルin関門」が山口県下関市・福岡県北九州市で開催されました

関門海峡 関門海峡
海峡ゆめタワーとメイン会場の海峡メッセ下関 海峡ゆめタワーとメイン会場の海峡メッセ下関
日本遺産フェスティバル in 関門ゲート 日本遺産フェスティバル in 関門ゲート
 10月29日(土)・30日(日)の2日間、日本遺産フェスティバルin関門が山口県下関市・福岡県北九州市で開催されました。「関門 “ノスタルジック” 海峡」は、平成29年に日本遺産に認定。構成文化財は両市内に点在しています。

下関市にある下関市民会館では開会式とオープニングイベントが、海峡メッセ下関ではPRブース展示や日本遺産公開講座、日本遺産分科会が開催されました。今回はこれらのメイン会場に加え、下関市内に1か所、北九州市内に3か所のサテライト会場を設け、それぞれ独自の催しを開催。全会場において2日間で、延べ38,000名の方が来場しました。
■オープニングは早鞆高等学校の「平家太鼓」と下関駅長の「振鈴」から
早鞆高等学校の「平家太鼓」パフォーマンス 早鞆高等学校の「平家太鼓」パフォーマンス
西日本旅客鉄道 下関管理駅・石原 純(いしはらあつし)駅長が振鈴を鳴らす様子 西日本旅客鉄道 下関管理駅・石原 純(いしはらあつし)駅長が振鈴を鳴らす様子
文化庁 都倉俊一(とくらしゅんいち)長官 文化庁 都倉俊一(とくらしゅんいち)長官
開会に先立ち、下関市にある早鞆高等学校の生徒が「平家太鼓」のパフォーマンスを披露しました。続いて、西日本旅客鉄道 下関管理駅・石原純駅長が、「関門“ノスタルジック”海峡」の構成文化財の一つである「下関駅の振鈴(※1)」の音を鳴らし、日本遺産フェスティバルin関門の開始を告げます。

※1:下関駅の前身となる、明治34年(1901)の山陽鉄道馬関駅の開業当初から、振鈴が鳴り響き、列車の発着を知らせた。下関駅の振鈴は、現代にその音色を伝える数少ない例で、現存最古級。「関門“ノスタルジック”海峡 ストーリー」より
開会式では、はじめに主催者を代表して都倉俊一文化庁長官、開催地を代表し下関市長 前田晋太郎氏、日本遺産連盟 会長 北九州市長 北橋健治氏、観光庁観光地域振興部長 中村広樹氏の4名が挨拶をしました。

人気お笑いコンビ・錦鯉による漫才 人気お笑いコンビ・錦鯉による漫才

続くオープニングイベントでは、人気お笑いコンビ・錦鯉が漫才を披露し、会場を盛り上げました。

小木博明さん、遼河はるひさんを迎えてのトークセッション 小木博明さん、遼河はるひさんを迎えてのトークセッション

日本遺産トークショーでは、下関市教育委員会教育部 文化財保護課 主任の髙月鈴世さん、北九州市市民文化スポーツ局 文化部 文化企画課 文化財係 学芸員の立野康志郎さんに加え、ゲストとして小木博明さん、遼河はるひさんが参加。関門ノスタルジック海峡のストーリーや、構成文化財についてトークセッションを行いました。
 髙月さんは下関、立野さんは北九州それぞれの地域の歴史や日本遺産のストーリー、構成文化財、見どころについて詳しく解説しました。

お二人のお話を受けて、高校時代に修学旅行で下関を訪れ、日本の歴史にも興味があるという小木さんは「日本遺産に囲まれて生活できる下関市、北九州市の方が羨ましいです。ストーリー性がある、それだけで素敵な街だなと思います」とコメント。

灯台やレトロな建造物に興味を示した遼河さんは、「本州の下関市と九州の北九州市が、一体となって取り組んでいるのが素敵だなと思いました。次回来る時は、歴史に想いを馳せながら海峡を眺めて、美味しいふぐいただきたいです。北九州の夜景も見たいですね」とコメントしました。
■個性豊かな展示ブース

海峡メッセ下関の日本遺産展示会場の様子 海峡メッセ下関の日本遺産展示会場の様子

メイン会場の海峡メッセ下関では、全国の日本遺産展示ブースが並び、賑わいを見せました。日本遺産にまつわる衣装を着てPRをしたり、特産品やオリジナルグッズを販売したり、子どもから大人まで楽しめる体験を用意したりと、個性豊かなさまざまな催しを実施。また、各ブースを訪れた方には日本遺産を象徴する写真やストーリーの概要を紹介する「日本遺産カード」が配布されました。
PRブースではさまざまな体験やワークショップも開催されました PRブースではさまざまな体験やワークショップも開催されました
個性を表現するPRブース 個性を表現するPRブース
黒曜石の展示、加工の実演の様子(星降る中部高知の城門世界/山梨県・長野県) 黒曜石の展示、加工の実演の様子(星降る中部高知の城門世界/山梨県・長野県)
日本遺産にまつわる衣装でPRするブース 日本遺産にまつわる衣装でPRするブース

歴史体感紙芝居「下関ふく物語」 歴史体感紙芝居「下関ふく物語」

会場内のミニステージでは、歴史体感紙芝居「下関ふく物語」や門司港バナナの叩き売りも実演。
■開催地、下関のブースは学生主導で企画・運営

日本遺産「関門“ノスタルジック”海峡」のブース 日本遺産「関門“ノスタルジック”海峡」のブース

開催地となった下関の日本遺産「関門“ノスタルジック”海峡」のブースは、下関市立大学と北九州市立大学の学生が展示のデザイン・企画・運営を行いました。その中心となって準備を行ってきた下関市立大学3年の月岡大稀さんは、このイベントに携わることになったきっかけや日本遺産への思いについて、次のように話します。

床に再現された山口県と福岡県の県境 床に再現された山口県と福岡県の県境

「大学で関門海峡日本遺産協議会の学生委員を募集しており、応募をしたところ私が委員に選ばれました。そのことから、所属しているサークル(SCU~地域魅力拡散し隊)にブース制作のお話をいただいたんです。「関門”ノスタルジック”海峡」の構成文化財には、レトロな近代建築が多く存在します。ブースの壁はそれらのレンガ造りをイメージし、下関の風景を楽しんでもらうために写真を展示したり、お子さんに喜んで貰えるようなガチャガチャを配置したりと工夫を施しています。昔関門に旅行で来たことがあるというご年配のご夫婦がブースにいらっしゃり、『久しぶりに来たけど、変わらず綺麗だ』とおっしゃっていました。この景観を守ろうと活動される方々がいること、今も昔もこの関門を好きでいてくれる方々がいるということに、とても誇りを感じているところです。多くの方に関門ノスタルジック、そして日本遺産全体の魅力が伝わってほしいと思います」(下関市立大学 3年 月岡大稀さん)。
■学ぶ!全国各地の日本遺産公開講座
 
1日目に開催された公開講座では、日本遺産にまつわる歴史や文化について全25の講座を開催。全国の個性豊かな講師陣のお話に、参加者は熱心に耳を傾けていました。

各講座のタイトルは「日本遺産フェスティバルin関門 公開講座プログラム」からご覧いただけます。
公開講座の様子 公開講座の様子
熱心に話を聞く人々 熱心に話を聞く人々
三味線による丹波篠山デカンショ節も披露されました 三味線による丹波篠山デカンショ節も披露されました
■学ぶ!全国各地の日本遺産分科会
 
2日目に開催された分科会では、日本遺産を活かした地域の取り組みや魅力の発信について、複数のテーマで発表が行われました。第一分科会のテーマは「海峡・海・港町」。現代における「海がつなぐ道」の可能性を探りました。

【第一分科会のストーリーと参加団体】
・関門“ノスタルジック“海峡〜時の停車場、近代化の記憶〜
関門海峡日本遺産協議会 日比野 利信さん

・尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市
尾道市歴史文化まちづくり推進協議会 西井 亨さん

・荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~
北前船日本遺産推進協議会 中野 秀治さん

・「鮭の聖地」の物語~根室海峡一万年の道程~
鮭の聖地メナシネットワーク 小野 哲也さん
 
第二分科会のテーマは、「食文化」-食文化を支える風土-。食文化がもつ奥深さや魅力を発信することはもちろん、各地における地域活性化や観光振興の取り組みの事例から、食文化の継承とさらなる魅力向上に向けたヒントを探りました。

【第二分科会のストーリーと参加団体】
・日本ワイン140年史~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~
ワイン文化日本遺産協議会 飯島 泉さん

・琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産
日本遺産「水の文化」ツーリズム推進協議会 福西 貴彦さん

・「日本第一」の塩を産したまち 播州赤穂
赤穂市日本遺産推進協議会 中田 宗伯さん

・中世日本の傑作 益田を味わうー地方の時代に輝き再びー
益田の歴史文化を活かした観光拠点づくり実行委員会 岩井 賢朗さん、岡﨑 健次さん
 
第三分科会では、「近代建築・都市形成(インフラ整備)」-近代の構造物・都市形成がもたらす現代への恵み-をテーマに、疏水・鉄道・港湾・上水道などのインフラ整備によりもたらされた都市の繁栄と、それに伴う文化について紹介。街に溶け込んだこれらの遺産とその恵みを、未来へ受け継ぎ活かしていくためのビジョンを描く機会となりました。

【第三分科会のストーリーと参加団体】
・京都と大津を繋ぐ希望の水路 琵琶湖疏水~舟に乗り、歩いて触れる明治のひととき
琵琶湖疏水沿線魅力創造協議会 日下部 徹さん

・鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~
旧軍港市日本遺産活用推進協議会 森岡 健晃・佐々木 崇人さん

・本邦国策を北海道に観よ!~北の産業革命「炭鉄港」~
炭鉄港推進協議会 吉岡 宏高さん

・海を越えた鉄道~世界へつながる 鉄路のキセキ~
長浜市・敦賀市・南越前町観光連携協議会 中野 拓郎さん
コメンテーター:観光未来プランナー (公社)日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野 朗さん
■北九州市サテライト会場
関門海峡をはさんで対岸の北九州市では、3か所のサテライト会場を設置しました。

門司港駅前会場 門司港駅前会場

【門司港駅前会場】(北九州市門司区)

下関から船で5分、大正時代に建てられた門司港駅前に設置した当会場では、「レトロ浪漫~関門“ノスタルジック”海峡」と題し日本遺産フェスティバルと「関門“ノスタルジック”海峡」のPRを行いました。西南女学院大学と九州女子大学の学生がタッグを組み、来場者を大正袴姿でお出迎え。日本遺産のストーリーさながらの“ノスタルジック”な雰囲気を演出しました。西南女学院大学の学生らは、日本遺産フェスティバルin関門のPR動画の作成も担当。若年層へのPRにも一役買ってくれました。また、音楽ステージや北九州港開港記念イベントも同時開催され、多くの来場者で賑わいを見せました。

船場広場・クロスロード会場 船場広場・クロスロード会場

【船場広場・クロスロード会場】
(北九州市小倉北区)

北九州市の繁華街の中心に位置する当会場では、「魅力まるごと!九州・沖縄・山口の日本遺産」と題し、九州・沖縄・山口に位置する15の日本遺産が集結。北九州市立大学学生のみなさんと一緒に、名産品の販売のほか、ご当地キャラクター大集合や各地域の方言による日本遺産紹介などのステージイベントを行いました。ステージイベントの企画・運営は北九州市立大学の学生によるもので、日本遺産認定団体のみなさんにご協力いただきながら、方言の原稿を作成・発表したり、ご当地キャラクターの出演をサポートしたりと、PRブースでの活動とあわせて、会場全体で大活躍しました。
また、10月30日にはハロウィンイベントを同時開催。多くの子どもたちの楽しい声が会場に響き、前日にも増して大賑わいでした。
【若松南海岸会場】(北九州市若松区)

明治から昭和にかけて石炭の積出港として栄え、ノスタルジックな雰囲気の残る若松南海岸会場では、日本遺産パネル展と地元ガイドによるまちあるきイベント「“ノスタルジック”歴史さんぽ」を実施。まちあるきイベントは、普段は入ることができない構成文化財の内部を特別公開するなど、日本遺産フェスティバルならではの内容でした。
■同時開催「しものせき海響グルメフェス」

海峡メッセ前のオーヴィジョン海峡ゆめ広場 海峡メッセ前のオーヴィジョン海峡ゆめ広場

海峡メッセ前のオーヴィジョン海峡ゆめ広場では、地元下関のお店がこだわりの料理の数々を提供。多くの方が、下関ならではの特別なグルメを堪能していました。
様々なお店のテントが並ぶ様子 様々なお店のテントが並ぶ様子
旬菜炙りダイニングからと屋 真ふくのぶっかけ丼 旬菜炙りダイニングからと屋 真ふくのぶっかけ丼
ブースに訪れて並ぶ人々 ブースに訪れて並ぶ人々
めん処 大津屋 とらふぐラーメン めん処 大津屋 とらふぐラーメン
会期中にはその他にも、豪華商品が当たる「日本遺産PRブース周遊スタンプラリー」や、クイズ王・伊沢拓司さん率いる東大発の知識集団QuizKnock(クイズノック)がクイズを制作した「渡る!ノスタルジック海峡 QuizKnock 関門日本遺産クイズラリー」、10月29日の〝和服の日〟にちなんだ「着物×人力車 関門“ノスタルジック”海峡を巡る小旅行」、日本遺産「関門“ノスタルジック”海峡」を巡るエクスカーションなど、さまざまな催しも実施。大盛況の2日間となり、多くの方に日本遺産の魅力に触れていただく機会となりました。
ぜひ来年度の日本遺産のイベントにもご期待ください!

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