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STORY #055

カムイと共に生きる上川アイヌ
〜大雪山のふところに伝承される神々の世界〜

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STORY

美しく厳しい大雪山のふところに、
カムイ~神~を見出し共に生きた“上川アイヌ”。
彼らは激流迸る奇岩の渓谷に魔神と英雄神の戦いの伝説を残し、
神々への祈りの場として崇めた上川アイヌの聖地には、
クマ笹で葺かれた家などによりコタンを形成し祈りを捧げ続ける。
上川アイヌは「川は山へ溯る生き物」と考え、
最上流の大雪山を最も神々の国に近く、
自然の恵みをもたらす、カムイミンタラ~神々の遊ぶ庭~として崇拝してきた。
神々と共に生き、伝承してきた上川アイヌの文化は、この大地に今も息づいている。

詳細を表示 構成文化財一覧 詳細 [PDF 2.7M]

構成文化財一覧

  • 文化財の名称

    指定等の状況

    文化財の所在地
カムイと共に生きる~上川アイヌ
  • アイヌ古式舞踏

    国指定重要無形民族文化財

    旭川市
神の里”カムイコタン”
  • 神居古潭 ~魔神と英雄神の激闘~

    未指定

  • 神居古潭おう穴鮮 ニッネカムイ・オ・ラオシマ・イ ~魔神の足跡~

    市指定記念物

    旭川市
  • 魔神の胴体ニッネカムイ・ネトパ・ケ

    未指定

    旭川市
  • 魔神の頭ニッネカムイ・サパ

    未指定

    旭川市
  • カムイノミ

    未指定

    旭川市
  • 石狩川

    未指定

    旭川市、比布町、当麻町、愛別町、上川町
  • 嵐山 ~チノミシリ~

    未指定

  • チカプニ

    未指定

    旭川市
  • チノミシリカムイノミ

    未指定

    旭川市
  • チセ(家)、プ(貯蔵庫)、ヌササン(祭壇)、アシンル(男性用トイレ) メノコル(女性用トイレ)

    未指定

    旭川市(一部上川町)
神々の遊ぶ庭“カムイミンタラ”大雪山
  • 大雪山 ~カムイミンタラ~

    国指定(一部) 特別天然記念物

    富良野市、上富良野町、上士幌町、上川町、鹿追町、士幌町、新得町、東川町
  • 旭岳

    国指定 特別天然記念物

    東川町
  • 羽衣の滝

    道指定名勝

    東川町
  • 天人峡

    未指定

    東川町
  • 層雲峡

    未指定

    上川町
  • 銀河・流星の滝

    未指定

    上川町
  • 黒岳

    国指定 特別天然記念物

    上川町
  • 大雪高原沼

    未指定

    上川町
  • 大函

    未指定

    上川町
  • 原始ヶ原

    未指定

    富良野市
  • 十勝岳

    国指定 特別天然記念物

    上富良野町、新得町
  • 然別湖(ミヤベイワナの生息地)

    未指定 (道指定天然記念物)

  • 三国峠の大樹海

    未指定

    上士幌町
  • 五色ケ原

    国指定 特別天然記念物

    新得町
  • ヌプカの里

    未指定

  • 高山植物 ~コマクサ等~

    未指定

    富良野市、上富良野町、上士幌町、上川町、鹿追町、士幌町、新得町、東川町、
  • 高山蝶 (ウスバキチョウ ・アサヒヒョウモン ・ダイセツタカネヒカゲ ・カラフトルリシジミ)

    国指定 特別天然記念物

    上士幌町、上川町、鹿追町、新得町、東川町
  • ヌプリコロカムイノミ

    未指定

    東川町
  • フクロウ神事

    未指定

    上川町
カムイと共に生きる人々の営み
  • 偉大なる祖先を讃える儀式 総乙名クーチンコロ 、松井梅太郎

    未指定

    旭川市
  • 木彫技術 (木彫り熊)

    未指定

    旭川市、上川町
  • 上川アイヌに関する資料一式 (川村カ子トアイヌ記念館)

    未指定

  • 上川アイヌに関する 資料一式 (旭川市博物館)

    未指定

  • 突哨山 突哨山チャシ

    未指定

    比布町
  • 獄に通ずる穴 アフン・ル・パル洞穴

    未指定

    比布町
  • 石垣山 (サン山の神、アイヌの古戦場)

    未指定

  • 立岩 ・人喰い刀岩

    未指定

  • 水神龍王神社

    未指定

LOCATION

北海道(上川町, 旭川市, 富良野市, 愛別町, 上士幌町, 上富良野町, 鹿追町, 士幌町, 新得町, 当麻町, 東川町, 比布町)

ACCESS

上川町
  • 鉄道
    • JR旭川駅~JR上川駅(特急利用で40分)
    • 札幌駅~上川町市街地(高速利用2時間30分)
    • JR旭川駅~上川町市街地(1時間)
    • 上川町市街地~層雲峡温泉街(30分)
  • 飛行機
    • 羽田空港~旭川空港(1時間45分)
旭川市
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR旭川駅(特急利用で1時間25分)
  • 飛行機
    • 羽田空港~旭川空港
    • 中部国際空港セントレア~旭川空港
    • 台湾桃園国際空港~旭川空港(3月27日~10月27日)* 桃園は平成30年度のスケジュール
  • 高速バス
    • 札幌駅ターミナル~北海道中央バス旭川ターミナル
富良野市
  • 鉄道
    • JR旭川駅~JR富良野駅(70分)
    • 旭川(国道237号)~富良野(約80分)
  • 飛行機
    • 羽田空港~旭川空港(路線バス)~JR旭川駅
  • 高速バス
    • 札幌(道央自動車道)~滝川~富良野(約150分)
愛別町
  • 鉄道
    • JR旭川駅(石北本線)~JR愛別駅(約45分)
    • 旭川空港~愛別町(約45分)
  • 飛行機
    • 羽田空港~旭川空港(旭川空港バス)~JR旭川駅
  • バス
    • 道北バス旭川駅前(上川・層雲峡線)~愛別橋前(約50分)
    • 道北バス旭川駅前(名寄・愛別・比布線)~愛別駅前(約65分)
    • 道北バス旭川駅前(愛別線(永山経由))~愛別橋前(約60分)
上士幌町
    • 帯広空港~上士幌町(約80分)
  • 飛行機
    • 羽田空港~帯広空港
上富良野町
  • 鉄道
    • JR旭川駅~JR上富良野駅
  • 飛行機
    • 羽田空港~旭川空港
鹿追町
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR新得駅(特急利用で約2時間)
    • JR新千歳駅~JR新得駅(特急利用で約1時間30分)
    • とかち帯広空港~鹿追市街(車で約1時間)
    • JR新得駅~鹿追市街(車で約20分)
    • 新千歳空港~鹿追市街(車で約2時間)
  • 飛行機
    • 羽田空港~とかち帯広空港(1時間30分)
  • 路線バス
    • とかち帯広空港~鹿追市街(約2時間)
    • JR新得駅~鹿追市街(約30分)
    • JR帯広駅~鹿追市街(約60分)
    • 然別湖へは鹿追町市街から車で約30分、路線バスで約40分です。公共交通機関の便数があまり多くありませんのでご留意ください。
士幌町
    • 帯広空港~士幌町役場(70分)
  • 飛行機
    • 羽田空港~帯広空港(シャトルバス)~帯広駅(路線バス)~士幌待合所(3時間10分)
新得町
  • 鉄道
    • JR帯広駅~JR新得駅(約1時間)
    • JR札幌駅~JR新得駅(約2時間)
    • 札幌市(道央自動車道・道東自動車道)~十勝清水IC
  • 飛行機
    • 羽田空港・成田空港~新千歳空港~JR南千歳駅~JR新得駅
    • 羽田空港・成田空港~新千歳空港(道東自動車道)~十勝清水IC
    • 羽田空港~帯広空港(バス・レンタカー等)
当麻町
  • 鉄道
    • JR旭川駅~JR当麻駅(約30分)
    • JR旭川駅~当麻町内(約30分)
    • 旭川空港~当麻町内(約30分)
  • 飛行機
    • 羽田空港~旭川空港(約1時間30分)
東川町
    • JR旭川駅~東川町市街地(約40分)
  • 飛行機
    • 羽田空港~旭川空港(約1時間30分)
比布町
  • 鉄道
    • JR旭川駅~~JR比布駅(約30分)
    • 旭川市街~比布市街(約40分)
  • 飛行機
    • 羽田空港~旭川空港(1時間30分)~旭川空港(バス 50分)~旭川駅前(車 40分)~比布市街
  • 路線バス
    • 旭川駅前~比布(約50分)

CONTACT

  • 上川町企画総務課企画グループ
  • TEL:01658-2-4063
  • 旭川市教育委員会社会教育部社会教育課
  • TEL:0166-25-7190
  • 富良野市教育委員会生涯学習センター
  • TEL:0167-42-2407
  • 愛別町総務企画課政策企画室
  • TEL:01658-6-5111(218)
  • 上士幌町教育委員会生涯学習課
  • TEL:01564-2-3024
  • 上富良野町教育振興課社会教育班
  • TEL:0167-45-5511
  • 鹿追町教育委員会 社会教育課 図書館係
  • TEL:0156-69-7170
  • 士幌町教育委員会教育課社会教育グループ
  • TEL:01564-5-4733
  • 新得町観光協会
  • TEL:0156-64-0522
  • 新得町教育委員会 社会教育課 社会教育係
  • TEL:0156-64-0532
  • 当麻町まちづくり推進課
  • TEL:0166-84-2111
  • 東川町文化レクリエーション課
  • TEL:0166-82-4245
  • 比布町教育委員会 生涯学習課社会教育係
  • TEL:0166-85-2262

STORY

カムイと共に生きる上川アイヌ

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カムイと共に生きる上川アイヌ

神へ捧げる歌や踊り

神々の遊ぶ庭、大雪山のふところにおいて、アイヌの人々とカムイ(神)は対等の存在として共に生きてきました。

アイヌの人々は、自然・動物・植物・道具など人間をとりまくすべての事物には“魂”が宿っており、神はカムイモシリ(神々の国)から山や川、クマなど様々な事物に姿を変えて“カムイ”としてアイヌモシリ(人間の国)に下りると考えました。

アイヌの人々は、多くの恵みをもたらす“カムイ”に感謝し、祈りや供物を捧げ、カムイもそれにより力を得ます。一方、禍をもたらす“カムイ”には、戒めとして罰を与えた後、改めて、更なる恵みを祈ります。

ペニウンクル(川上に住む人)と呼ばれた上川アイヌの人々は、「川は山へ溯る生き物」であり、最上流の大雪山は、北海道最高峰であり、最もカムイモシリに近いところと考えました。彼らは、石狩川流域にコタン(集落)をつくり、河川の恵みによる交易で栄え、多くの出来事を伝説として語り継いできました。神の里から上川アイヌの聖地、神々の遊ぶ庭まで石狩川を遡り、かつて彼らが見てきた、そして現在も変わらぬ神々の世界を旅してみましょう。

神の里“カムイコタン”

石狩川中流域のカムイコタンでは、両岸に奇岩の大岩塊が屹立し、累々と横たわる巨岩の間を大滝のように激流が迸り、いかにも人智の及ばぬものが棲みついているかのような情景を見ることができます。

まだ道路もなく舟が重要な交通手段だった頃、カムイコタンの巨岩と激流は石狩川で一番の難所でした。川を遡ってきたアイヌはこの地を舟着き場とし、陸伝いに上流を目指しました。そのためカムイコタンには、人やモノの流通の場として集落が形成されていきました。

カムイコタンの激流はいくつもの渦をまき、時には舟を難破させ人々を飲み込みました。上川アイヌの人々は、この厳しい自然やその痕跡をカムイの仕業と考え、この地に魔神を見出しました。

激しい渦流によりできた何人も人が入れる大きな穴を「ニッネカムイ・オ・ラオシマ・イ(魔神が残した足跡)」、大口をあけて断末魔の叫びをあげているような形の奇岩を「ニッネカムイ・サパ(魔神の切り落とされた頭)」、首を切り落とされたような崖の上の巨岩を「ニッネカムイ・ネトパ・ケ(魔神の胴体の部分)」と名付けるなど、魔神と英雄神による戦いが繰り広げられたという壮大なストーリーを残しています。

現在においても、カムイコタンの歴史を偲び、「交通の難所・カムイコタンを無事に通れるように」と、川の神に祈りを捧げる儀式が行われています。

左:奇岩が屹立するカムイコタン/右:川の神に祈りを捧げる儀式

上川アイヌの聖地“チノミシリ”嵐山

カムイコタンから石狩川を溯ること十数キロ、川に面した大きな絶壁を持つ、上川アイヌがチノミシリ(我ら祀る山)と呼んだ嵐山です。アイヌの人々が舟でこの絶壁の前を通る際は、衣服を正し被りものをとり、畏敬の念を込めていたとされており、信仰上、極めて重要な地とされています。

その山の麓には、大きな母屋に小さな玄関が併設され、全体がクマ笹で葺かれた数軒のチセ(家)が立ち並びます。母屋は中心に炉があり、1年を通じて火の神が祀られるため、土間が蓄熱し、厳冬期も比較的暖かであったと言われています。部屋の一番奥にある窓は、神々が出入りする神聖な窓であり、そこからチセの中を覗くことは許されませんでした。

チセの隣のクマ笹で葺かれた高床式の食料庫と玄関から少し離れた男性・女性用が別のトイレ、そしてチセの一番奥の窓の外にある神々を祀る祭壇によりアイヌのコタンが構成されています。

今もなお、上川アイヌの神々への祈りは捧げ続けられ、石狩川と嵐山の豊富な自然により繁栄した、かつての上川アイヌの暮らしを垣間見ることができます。

左:嵐山のクマ笹で葺かれたチセ/右:コタンの平和や幸福を願う儀式

神々の遊ぶ庭“カムイミンタラ”大雪山

嵐山から石狩川を最上流まで遡れば、かつて上川アイヌが見た情景がそのまま残る、神々の国に最も近い大雪山です。原始的で壮大な山岳風景の中に360度のパノラマが展開し、真夏でも残る白い雪渓と、ハイマツの緑、白や赤で彩られた高山植物の絨毯が敷きつめられ、周辺には大雪山系でしか見られないウスバキチョウが黄色い花びらのように舞い、その美しいコントラストには誰しもが驚かされます。山麓には、天まで広がる絶壁、猛々しさと優美な美しさを兼ね備えた滝、数多の生命を育む湖などの自然の楽園が迎えてくれます。また、日本一早く色づき始める大雪山の紅葉は、天空の花畑を燃え盛るように染め、その壮大なスケールと絶景は観るものを魅了します。

アイヌの人々にとっての大雪山は、神がもたらす豊かな食料の宝庫でもあり、魔神がもたらす天災など人々の暮らしを脅かすものであると考えられ、その様から、カムイミンタラ(神々が遊ぶ庭)として呼ばれ、崇拝と畏怖の対象とされてきました。

大雪山では、最も格式の高いシマフクロウを神々の国に送る儀式や、山に入る者の安全を祈る祭事を現在も行っており、自然と共に生き、自然の恵みに感謝するアイヌの営みを感じることができます。

左:大雪山の雄大な自然/右:山に入る者の安全を祈る儀式

カムイと共に生きる人々の営み

明治後期の和人の流入により、上川アイヌの人々は何度も土地を追われ、生活様式が激変し、理不尽な暮らしを余儀なくされました。当時の強制移転に反対し、人々の生活の場を守った上川アイヌの長は、アイヌの聖地で今でも英雄として語り継がれています。北海道土産として有名な木彫熊は当時の厳しい暮らしの中で、新しい産業としてこの地でその技術を誕生させました。大雪山のふところでは、今もなお上川アイヌの営みが息づき、文化や歴史を発信し続けています。

上川アイヌが見出したカムイは、他にも「地獄に通ずる穴」や「アイヌの古戦場」「底無し沼と妖刀」など、数々の伝説や歴史を残し、各地で今も語り継がれています。

これらの自然景観とアイヌが織り成す神秘は永遠であり、手で触れ足で踏みその目で確かめたとき、訪れる人々は、上川アイヌが見出したカムイの世界に引き込まれることでしょう。

左:上川アイヌの長に感謝を捧げる祈り/右:上川アイヌの歴史を伝える資料

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