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STORY #068

本邦国策を北海道に観よ!
~北の産業革命「炭鉄港」~

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STORY

明治の初めに命名された広大無辺の大地「北海道」。
その美しくも厳しい自然の中で、「石炭」・「鉄鋼」・「港湾」とそれらを繫ぐ「鉄道」を
舞台に繰り広げられた北の産業革命「炭鉄港」は、北海道の発展に大きく貢献してきました。
当時の繁栄の足跡は、空知の炭鉱遺産、室蘭の工場景観、小樽の港湾そして各地の鉄道施設など、
見る者を圧倒する本物の産業景観として今でも数多く残っています。
100㎞圏内に位置するこの3地域を原動力として、北海道の人口は約100年で100倍になりました。
その急成長と衰退、そして新たなチャレンジを描くダイナミックな物語は、
これまでにない北海道の新しい魅力として、訪れる人に深い感慨と新たな価値観をもたらします。

詳細を表示 構成文化財一覧

構成文化財一覧

  • 文化財の名称

    指定等の状況

    文化財の所在地
  • 空知川露頭炭層

    未指定

  • 北炭幌内炭鉱音羽坑

    未指定

  • 樺戸集治監本庁舎(月形樺戸博物館)/空知集治監典獄官舎レンガ煙突

    町有形(建造物)/市有形

  • 夕張の石炭大露頭「夕張24尺層」

    国有形(建造物)

  • 小林酒造建造物群

    未指定

  • 旧北炭夕張炭鉱天竜坑

    国有形(建造物)

  • 炭鉱の記憶マネジメントセンター石蔵

    未指定

  • 夕張鹿鳴館(旧北炭鹿ノ谷倶楽部)

    国有形(建造物)ほか

  • 幌内変電所

    近代化産業遺産

  • 北炭幾春別炭鉱錦立坑櫓

    近代化産業遺産ほか

  • 三菱美唄炭鉱竪坑櫓

    近代化産業遺産

  • 旧北炭滝ノ上水力発電所

    未指定

  • 北炭新幌内砿坑口

    未指定

  • 旧北炭夕張炭鉱模擬坑道(夕張市石炭博物館)

    国有形(建造物)

  • 旧北炭清水沢水力発電所

    未指定

  • 北炭赤間炭鉱ズリ山

    未指定

  • 採炭救国坑夫の像

    市有形(工芸品)

  • 人民裁判の絵

    未指定

    美唄市
  • 旧栄小学校(安田侃彫刻美術館アルテピアッツア美唄)

    未指定

  • 星槎大学(旧頼城小学校)校舎及び体育館

    国有形(建造物)

  • 三笠市役所庁舎

    未指定

  • 住友奔別炭鉱立坑櫓・周辺施設

    未指定

  • 住友赤平炭鉱立坑櫓・周辺施設

    未指定

  • 旧火力発電所(日本製鋼所)

    未指定

  • 恵比寿・大黒天像

    未指定

  • 瑞泉閣

    未指定

  • 日本製鋼所室蘭製作所製造 複葉機エンジン「室0号」

    市有形

  • 工場景観と企業城下町のまちなみ

    未指定

  • 小樽港北防波堤

    未指定

  • 北炭ローダー基礎

    未指定

  • 色内銀行街(旧三井物産及び旧三菱商事小樽支店)

    未指定

  • 旧三菱合資会社室蘭出張所

    未指定

  • 旧北炭室蘭海員倶楽部

    未指定

  • 手宮線跡及び附属施設

    一部国重文ほか

  • 旧手宮鉄道施設(機関車庫三号)

    国重文

  • 小樽中央市場

    未指定

  • 旧北海道炭礦鉄道岩見沢工場(岩見沢レールセンター)

    近代化産業遺産

  • 室蘭市旧室蘭駅舎

    国有形(建造物)

  • 朝日駅舎

    未指定

  • 岩見沢操車場跡

    未指定

  • 唐松駅舎

    未指定

  • クラウス15号蒸気機関車

    町有形

  • 蒸気機関車 D51 320号機

    町有形(工芸品)

  • 旧三井芦別鉄道炭山川橋梁

    国有形(建造物)

  • 美唄鉄道東明駅舎 4110形式十輪連結タンク機関車2号

    市有形

LOCATION

北海道(赤平市、小樽市、室蘭市、夕張市、岩見沢市、美唄市、芦別市、三笠市、栗山町、月形町、沼田町、安平町)

ACCESS

赤平市
    • 札幌市内~赤平市(道央自動車道経由)約1時間21分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR滝川駅(函館本線)~JR赤平駅(根室本線)約1時間10分
小樽市
    • 札幌市内~小樽市(札樽自動車道経由)約47分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR小樽駅(函館本線)約30分
室蘭市
    • 札幌市内~室蘭市(道央自動車道経由)約1時間48分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR室蘭駅(室蘭本線・室蘭支線)約1時間30分
夕張市
    • 札幌市内~夕張市(道央自動車道経由)約1時間20分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR新夕張駅(根室本線・石勝線)約1時間
岩見沢市
    • 札幌市内~岩見沢市(道央自動車道経由)約53分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR岩見沢駅(函館本線)約30分
美唄市
    • 札幌市内~美唄市(道央自動車道経由)約1時間1分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR美唄駅(函館本線)約40分
芦別市
    • 札幌市内~芦別市(道央自動車道経由)約1時間38分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR滝川駅(函館本線)~JR芦別駅(根室本線)約1時間50分
三笠市
    • 札幌市内~三笠市(道央自動車道経由)約51分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR岩見沢駅(函館本線) 北海道中央バス 約55分
栗山町
    • 札幌市内~栗山町(道央自動車道経由)約55分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR岩見沢駅(函館本線)~JR栗山駅(室蘭本線)約53分
月形町
    • 札幌市内~月形町(国道275号経由)約1時間2分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR石狩月形駅(学園都市線)約1時間30分
沼田町
    • 札幌市内~沼田町(道央自動車道経由)約1時間36分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR深川駅(函館本線)~JR石狩沼田駅(留萌本線)約1時間20分
安平町
    • 札幌市内~安平町(道央自動車道経由)約1時間8分
  • 鉄道
    • JR札幌駅~JR早来駅(石勝線)約1時間

CONTACT

  • 炭鉄港推進協議会事務局
  • TEL:0126-20-0146

STORY

本邦国策を北海道に観よ!

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炭鉄港との出会い-石炭、鉄鋼、港湾、鉄道-

札幌から北東に向けて車で1時間、空知地方をドライブしていると、街並みの中に異彩を放つ、高さ44mの巨大な鉄塔が見えてきます。これは平成6年に閉山した住友赤平炭鉱の立坑櫓で、東京スカイツリーよりも深い地下650mから石炭を揚げていた操業当時の雰囲気を、そのままに残す圧倒的な存在感と機能美、そして元炭鉱マンのガイドが見学者を魅了します。

空知の石炭を基軸に、室蘭の鉄鋼、小樽の港湾、これらを繫ぐ炭鉱鉄道によって繰り広げられた近代化の物語「炭鉄港」。世界遺産〈明治日本の産業革命遺産〉と同じ源流を持ちながら、開拓から製鉄までわずか30年という短期間で独自の発展を遂げた「北の産業革命」であり、その歴史をひも解くと、これまで気づかなかった北海道の新たな魅力が目の前に拡がります。

北海道の開拓-炭鉄港のはじまり-

年間約800万人もの観光客が訪れる【小樽】。観光客に人気の高い「運河」や「古いまちなみ」を語るには「近代」のストーリーが欠かせません。

北海道は、明治になって、資源開発と北方警備の観点から国策として開拓が進められました。そのため、国家財政が約2千万円/年のところ、5年で1千万円という開拓計画が立てられ、西洋の技術も積極的に導入されました。

その象徴的な存在が、【空知】の炭鉱開発でした。ライマンの調査により、石炭が豊富に埋蔵していることがわかり、明治12年に幌内炭鉱(三笠市)が開鉱、明治15年にはその石炭を運ぶための小樽〜幌内間(約90㎞、当時の日本最長)の鉄道が、クロフォードらによりわずか3年で完成しました。同時に労働力確保のため2つの集治監(監獄)が開かれ、一大国家プロジェクトとして《炭鉄港》の物語はスタートしたのです。

炭鉱と鉄道は、後に北海道炭礦鉄道会社(北炭)に払い下げられ、【室蘭】への鉄道延伸が進められたことで、室蘭は石炭積出港として取扱量が急激に増え、北海道三番目の特別輸出港に指定されました。その後、鉄道は再国有化され、北炭は売却資金をもとに、空知の石炭を使った鉄鋼業に進出、室蘭は鉄のまちへと変貌していきます。

富国強兵と領土拡大-炭鉄港の発展-

【小樽】は、明治30年代には、我が国初の本格的港湾として北防波堤の整備が進むなど、北海道随一の港町となっていましたが、第1次世界大戦での世界的な農産物の高騰を背景に、北海道産品の輸出港として更なる発展を遂げました。小樽から道内各地へ鉄道網が伸びたことから、産品を容易に入手できたためです。

また、第1次世界大戦は、【空知】の炭鉱にも大きな変化をもたらしました。採掘現場が次第に深くなり生産量も拡大する中、欧州製機器の輸入が困難となったため、国産技術による電化や機械化が進んだのです。立坑が続々と掘削され、新鉱開発が活発化するなど、技術革新の時代を迎えました。

【室蘭】の製鉄は、生産・経営とも初めは順調に行きませんでしたが、昭和9年の日本製鉄への合併を機に一転、大増産体制へと向かいました。

戦後復興とエネルギー革命-炭鉄港の活躍と衰退-

第2次世界大戦後、昭和40年代からいち早く衰退の兆しが現れたのも【小樽】でした。輸入原材料の調達に不利な日本海側にあったため、太平洋側にある苫小牧港との競争に破れ、商業・金融機能も次々と札幌へと移転していきました。

一方、【空知】【室蘭】は、戦後復興のため炭鉱と鉄鋼業に優先して資源が投入され大活躍しました。戦争被害が比較的軽微で、豊富な石炭を持つ北海道が戦後日本の再出発に不可欠だったのです。しかし、昭和30年代後半には状況が一変、エネルギー革命により石油が急激に普及し石炭に取って代わります。

【空知】では、「スクラップ=ビルド政策」に沿った大規模投資により操業を効率化、生産コストを削減し、生き残りへの最後の懸命な努力が重ねられます。しかし、大勢に抗うことはできず多くの炭鉱が閉山。史上最大の産業転換政策である「石炭政策」によって、5万人の労働者が空知を去りました。

【室蘭】も、小樽と同様に苫小牧港に物流機能が移るとともに、国内臨海部の新鋭製鉄所の出現により次第に地位を低下させます。日本が高度成長へとまい進する中で、《炭鉄港》は国策による使命を完全に終えたのです。

未来に向けた「知の旅」-炭鉄港のこれから-

その後、地域の歴史を見つめ直し、新たな価値を見出すまちづくりが、再び【小樽】から始まりました。歴史遺産を生かした「歴史とロマンの街 小樽」として、多くの観光客が訪れています。また、【空知】や【室蘭】でも地域の歴史や産業遺産を生かしたまちづくりが進んでいます。

さらに《炭鉄港》は、世界遺産〈明治日本の産業革命遺産〉の出発点である薩摩を源流とする点でもユニークです。薩摩藩主・島津斉彬は、日本初の西洋式工場群「集成館事業」を推進し西欧からの脅威に対抗しましたが、ロシアによる北方の脅威にも危機感を抱き、軍事力に加え産業が必要と考え、その思いが家臣団に引き継がれます。そのため北海道開拓では多くの薩摩出身者が要職を占め、ビール醸造(現・サッポロビール)や屯田兵、米国技術者招聘など、新たな技術・制度が積極的に導入されました。

《炭鉄港》エリアには、当時を物語る多くの産業遺産が残されているほか、「なんこ」や「室蘭やきとり」をはじめとした独特の食文化が生まれ、今なお地元の方々に愛されています。

成長と衰退、そして新たなまちづくりに向かうという《炭鉄港》のドラマチックな変化を実感することは、日本が直面する人口減少・少子高齢化の先取りとして、未来に向けたヒントと新たな価値観に出会うことができる、「知の旅」なのです。

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