藍のふるさと 阿波〜日本中を染め上げた至高の青を訪ねて〜STORY #081
みどころspot
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工藤家住宅を中心とした藍関連文化財群
西麻植地区の工藤家は、藍師・藍商として活躍しました。風情ある藍屋敷の佇まいからは往時の隆盛を感じることができます。明治36年(1903)、大阪で開催された第5回内国勧業博覧会に藍玉を出品した工藤虎吉は、一等賞に輝き金杯を授与されました。
工藤家の近くにある西麻植駅は工藤源助・虎吉が費用の大半を負担して開設したものです。また、西麻植八幡神社の本殿玉垣には工藤源助、工藤虎吉、工藤和喜太、麻植松太郎、近藤廉平、明石市五郎などの藍商人の名が見られます。さらに、吉野川市の有形文化財に指定されている西麻植八幡神社の備前焼の狛犬や太鼓橋、両部鳥居も地元の有力な藍商人から寄進されたものです。その他、奉納石碑や御神燈などにも地元の藍商人の名が見え、工藤家をはじめとする藍師・藍商がこの地域の発展に大きく貢献していることが分かります。西麻植八幡神社太鼓橋・両部鳥居は市指定有形文化財(昭和57年7月15日指定)
徳島県吉野川市鴨島町西麻植檀ノ原155 続きを読む
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舞中島地区
美馬市穴吹町に位置する舞中島は、日本三大暴れ川のひとつである吉野川とその支流である明連川にはさまれた川中島で、美馬市脇町南町伝統的建造物群保存地区から吉野川をはさんだ対岸に位置しています。川中島という特異な地形であったことから、頻繁に洪水の被害にあっていた反面、氾濫によって運ばれてくる吉野川の肥沃な土壌を有効に活用できました。また、吉野川の水運を利用できたため、江戸時代から明治時代にかけて藍の一大産地となり、対岸のうだつの町並みなどに葉藍や蒅を納めていました。
藍畑は、藍作が衰退した後、養蚕のための桑畑に引き継がれ、農業用水が完成したことによって、稲作をするための水田に変わっていきました。現在の舞中島でも、洪水に備えた高石垣の屋敷が微高地に残り、主屋をはじめ、藍寝床や蔵を見ることができます。また、水防のために、舞中島を取り囲むようにかき寄せ堤防や水防林もあります。
徳島県美馬市穴吹町三島舞中島 http://www.city.mima.lg.jp/kankou/bunka/sonotabunka/0002.html 続きを読む
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藍の生産地と集散地を結ぶ景観
藍の生産地であった美馬市穴吹町の舞中島と藍の集散地であった美馬市脇町の美馬市脇町南町伝統的建造物群保存地区を結ぶ風景です。かつては、この場所に舞中島渡しがあり、両岸の人々が行き来し、葉藍や蒅、生活物資を載せた平田舟が、吉野川を往来していました。昭和36年(1961)には潜水橋が架けられ、地域住民の生活道路となっています。台風等の増水時には、潜水橋が濁流の中に隠れ、暴れ川である吉野川の洪水時の迫力を垣間見ることができます。平時には、吉野川や四国山系の山々が折り重なる美しい風景がひろがり、かつて藍で栄えた時代に思いをはせることでしょう。
徳島県美馬市脇町大字脇町 https://mimakankou.or.jp/event/%E8%84%87%E7%94%BA%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E6%A9%8B/ 続きを読む
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美馬市脇町南町伝統的建造物群保存地区(うだつの町並み)
美馬市脇町南町伝統的建造物群保存地区、通称「うだつの町並み」は、藍の集散で栄えた商家町でです。吉野川北岸を東西に走る撫養街道と、讃岐に抜ける街道が交差する交通の要衝で、町並みの南を吉野川が流れていたことから、川湊として水運も活用できたのです。吉野川をはさんだ対岸には、藍の一大生産地であった舞中島があり、藍をはじめとする物資の集散地として繁栄を築きました。
藍商たちは豪華な屋敷を建築し、本瓦葺き屋根で漆喰壁、虫籠窓や格子などを設け、重厚で華麗な装飾を施した「うだつ」をあげました。「うだつ」とは、建物2階部分の端に設けられた防火壁のことで、「うだつ」をあげるには、相当な費用がかかったことから「うだつがあがらない」のことわざの語源にもなりました。現在でも、藍で栄えた町並みを大切に守り続けています。(重要伝統的建造物群保存地区 昭和63年12月16日選定)
徳島県美馬市脇町大字脇町 http://www.city.mima.lg.jp/kankou/kankouannai/miru/0002.html 続きを読む
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吉田家住宅
吉田家住宅は、美馬市脇町南町伝統的建造物群保存地区(うだつの町並み)内にある藍商の屋敷です。吉田家は、「佐直」の屋号で吉野川の水運を利用して藍の集散を家業とする大富豪でした。南町通り沿いの主屋から吉野川に向かって、2棟の土蔵・藍蔵・離れ家といった複数の建物が並び、離れ家横の裏門の南には船着き場跡が一体となって残されており、うだつの町並みの藍商家の往時をしのぶことができます。現在は美馬市指定有形文化財として公開され、主屋では各種イベントが行われ、藍蔵には土産店や喫茶が併設されています。(市指定有形文化財 平成11年4月2日指定)
美馬市脇町大字脇町53番地 0883-53-0960 http://www.city.mima.lg.jp/kankou/kankouannai/miru/0005.html 続きを読む