関門“ノスタルジック”海峡~時の停車場、近代化の記憶~STORY #052
みどころspot
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屋内屋外に施されたさまざまな装飾が大正時代の雰囲気を感じさせる—北九州市旧大阪商船[構成文化財]
オレンジ色のタイルの帯と道路側壁面の石、モルタル洗出し仕上げの外観は、東京駅などで知られる辰野式フリークラシックのデザインがよりゼツェシオン様式に近づいたものとしても知られています。
竣工当時、関門で一番の高さを誇った八角形の塔の隅角部と塔屋部のつなぎ目にあるクロー・ステップに独自のデザインが使われています。
また、屋根にある10個のドーマーウインドウ、軒先を飾るパラペット、外壁の妻部分を装飾する2つの櫛型ペディメントなど、華やかな大正期を象徴する飾りに注目しましょう。
1階の旧下等待合室には柱頭の飾りと腕木のついた柱が、2階にはかつてのスクロール付きの粱型などが残っていて、当時の趣きを感じることができます。
北九州市門司区港町7-18 093-321-4151 https://www.mojiko.info/spot/osaka.html 続きを読む
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日本の灯台50選にも選ばれている!—部埼灯台[構成文化財]
北九州市門司区企救半島の北東端、瀬戸内海周防灘に面した小高い丘にあり、明治5年1月(1872年3月)に竣工した複合抵塔型灯台で、石造円形の灯塔に半円形の附属屋がついています。仮点灯を含めて日本で12番目に点灯した洋式の灯台で、「日本の灯台の父」と呼ばれるリチャード・ヘンリー・プラントンが設計しました。「狐埼」と呼ばれたほど遭難が多かった関門海峡東口で、今も航行の安全を見守り続けています。
北九州市門司区大字白野江 https://www.gururich-kitaq.com/spot/hesaki-lighthouse 続きを読む
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歴史的なデザインは影を潜めたアール・デコの建物—関門ビル(旧関門汽船株式会社)[構成文化財]
明治・大正期によく見られた意匠をそぎ落として近代的な構造に近づけようとした建物です。建物の角を切ったような隅切りの構造には近代建築らしさが伺えます。ただ、隅切りの上の三角の飾りや玄関両端の柱は歴史的なデザインなので、完全に過去の意匠を取り去っているということではありません。過去のデザインと近代のデザインが共存しています。
壁面の大きな窓も近代建築ならではの特徴です。関門ビルが全鉄筋コンクリート造なので設けることができました。旧英国領事館と窓の大きさを比べてみるだけでも時代の移り変わりがわかります。
唐戸交差点には、昭和初期に建てられた関門ビルの他に、明治期や大正期の建物が並びます。街自体が近代建築の博物館のようで、日本一の交差点だと言う人もいるほどです。
山口県下関市唐戸町6-2 https://www.japanheritage-kannmon.jp/bunkazai/index.cfm?id=30 続きを読む
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日清講和記念館[構成文化財]
明治28(1895)年春に下関で行われた日清講和会議と、下関条約と呼ばれる講和条約の歴史的意義を後世に伝えるため、昭和12(1937)年6月、講和会議の舞台となった料亭春帆楼の隣接地に開館しました。
館内中央に講和会議場を再現し、会議で実際に使用された椅子、硯や硯箱、フランス製ストーブ、インクポットとペンなどを展示して当時の様子を紹介しています。特に、伊藤博文と李鴻章が座った椅子は、浜離宮で使用されていたといわれるものです。イギリスのバルーンバックチェアのフレームに黒漆金蒔絵が施されており、皇室や国賓のために用意される最も格の高い仕様になっています。
〒750-0003 下関市阿弥陀寺町4番3号 083-241-1080 https://www.shimohaku.jp/page0106.html 続きを読む
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北九州市若松に現存する洋風建築の優れた意匠—旧古河鉱業若松ビル[構成文化財]
建物背後を除いた3つの隅に配置された塔屋に注目を。なかでも、道路交差部にはビル4階分ほどの高さの円筒が地表から立ち上がっています。デザインのポイントになる塔屋の明かり窓も見どころ。
塔屋の入り口上部はルネサンス様式を基調とし、左右対称とバランスが重視されました。建物の内部から塔屋のドーム部を見上げると、明かり窓から差し込む光が美しく、気品ある雰囲気を醸し出しています。
建物の2階には修復保存した煉瓦壁がある多目的ホールや、当時のたたずまいを残す会議室があります。建築当時からの木製階段にも竣工時の面影を感じられるでしょう。また、1階の玄関ホールには当時の消火栓が保存してあるので、ぜひ探してみてください。
〒808-0034 北九州市若松区本町1丁目11-18 093-752-3387 http://www.fkw.jpn.org/index_main.shtml 続きを読む