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STORY #074

1300年つづく日本の終活の旅
~西国三十三所観音巡礼~

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STORY

究極の終活とは、ただ死に向かって人生の整理をすることではない。
人生を通して、いかに充実した心の生活を送れるかを考えることが、日本人にとっての究極の終活である。
そして、それを達成できるのが西国三十三所観音巡礼である。
日本人は海外の人から『COOL!』だと言われる。
そのように評価されるのは、優しさ、心遣い、勤勉さといった日本人の本来の心であり、
実はそれは日本人が親しんできた「観音さん」の教えそのものである。
観音を巡り日本人本来の豊かな心で生きるきっかけとなる旅、それが西国三十三所観音巡礼なのだ。

詳細を表示 構成文化財一覧

構成文化財一覧

※①和歌山県那智勝浦町、同和歌山市、同紀の川市、大阪府和泉市、同藤井寺市、同茨木市、同箕面市、奈良県高取町、同明日香村市、同桜井市、同奈良市、京都府宇治市、同京都市、同亀岡市、同宮津市、同舞鶴市、滋賀県大津市、同長浜市、同近江八幡市、兵庫県宝塚市、同加東市、同加西市、同姫路市、岐阜県揖斐川町

LOCATION

和歌山県(那智勝浦町、和歌山市、紀の川市)・
大阪府(和泉市、藤井寺市、茨木市、箕面市)・
奈良県(高取町、明日香村、桜井市、奈良市)・
京都府(宇治市、京都市、亀岡市、宮津市、舞鶴市)・
滋賀県(大津市、長浜市、近江八幡市)・
兵庫県(宝塚市、加東市、加西市、姫路市)・
岐阜県(揖斐川町)

ACCESS

第一番札所 那智山 青岸渡寺
  • 鉄道
    • JRきのくに線紀伊勝浦駅下車、熊野交通バス「那智山」行き約30分、「那智山(終点)」下車、徒歩約15分
第二番札所 紀三井山 金剛宝寺(紀三井寺)
  • 鉄道
    • JRきのくに線紀三井寺駅下車、徒歩約12分
    • JR和歌山駅下車、和歌山バス海南方面行き約30分、「紀三井寺」下車、徒歩約12分
第三番札所 風猛山 粉河寺
  • 鉄道
    • JR和歌山線粉河駅下車、商店街徒歩約15分
第四番札所 槇尾山 施福寺
  • 鉄道
    • JR阪和線和泉府中駅下車、南海バス和泉府中駅前から「槇尾山口」行き、または「父鬼」行き約40分、「槇尾中学校前」下車、オレンジバス(シャトルバス)に乗り換え約15分、「槇尾山(終点)」下車、徒歩約30分
第五番札所 紫雲山 葛井寺
  • 鉄道
    • JR天王寺駅下車、近鉄大阪阿倍野橋駅から近鉄南大阪線約13分、藤井寺駅下車、徒歩約5分
    • JR大和路線柏原駅よりタクシー約20分
第六番札所 壷阪山 南法華寺(壷阪寺)
  • 鉄道
    • 近鉄壺阪山駅下車 奈良交通バス「壷阪寺前」行き約11分 終点「壷阪寺前」下車すぐ
第七番札所 東光山 岡寺(龍蓋寺)
  • 鉄道
    • 近鉄橿原神宮前駅下車、東口より奈良交通 2番のりばより 明日香周遊バスまたは飛鳥方面行き、菖蒲町方面行きバス。バス停「岡寺前」下車徒歩10分。または橿原神宮前駅東口よりタクシーで約20分
第八番札所 豊山 長谷寺
  • 鉄道
    • JR万葉まほろば線桜井駅下車、近鉄桜井駅から近鉄大阪線で約9分、近鉄長谷寺駅下車、徒歩約15分
第九番札所 興福寺 南円堂
  • 鉄道
    • JR大和路線奈良駅下車、徒歩約20分
    • 近鉄奈良線近鉄奈良駅下車、徒歩約5分
第十番札所 明星山 三室戸寺
  • 鉄道
    • JR奈良線六地蔵駅または黄檗駅から京阪電車乗り換え三室戸寺駅下車、徒歩約15分
第十一番札所 深雪山 上醍醐 准胝堂(醍醐寺)
  • 鉄道
    • JR奈良線六地蔵駅から地下鉄東西線約4分、醍醐駅下車、徒歩約10分
    • JR山科駅か六地蔵駅から京阪バスで「醍醐寺前」下車、徒歩すぐ。上醍醐へは更に徒歩約60分
第十二番札所 岩間山 正法寺(岩間寺)
  • 鉄道
    • JR琵琶湖線石山駅より京阪バス52,53,54系統で「中千町」下車、徒歩約50分 ※毎月17日はJR石山駅より岩間寺直通シャトルバスあり
第十三番札所 石光山 石山寺
  • 鉄道
    • JR琵琶湖線石山駅から京阪バス大石小学校行き、石山団地行き(野々宮経由)、新浜行き、南郷二丁目東行きで約10分、「石山寺山門前」下車すぐ
    • 京阪電車石山坂本線石山寺駅下車、徒歩約10分
第十四番札所 長等山 園城寺(三井寺)
  • 鉄道
    • JR琵琶湖線大津駅またはJR湖西線大津京駅下車、徒歩約20分。またはJR湖西線大津京駅から京阪電車京阪大津京駅乗り換え、三井寺駅下車、徒歩約10分
第十五番札所 新那智山 今熊野観音寺
  • 鉄道
    • JR奈良線東福寺駅下車、徒歩約15分
    • JR京都線京都駅下車、市バス208系統「泉涌寺道」下車、徒歩約10分
第十六番札所 音羽山 清水寺
  • 鉄道
    • JR京都線京都駅下車、市バス100または206系統「五条坂」下車、徒歩約10分
    • 京阪電車清水五条駅から徒歩約25分
第十七番札所 補陀洛山 六波羅蜜寺
  • 鉄道
    • JR京都線京都駅下車、市バス100または206系統「清水道」下車、徒歩約7分
    • 京阪電車清水五条駅下車、徒歩7分
    • 阪急電車京都河原町駅下車、徒歩15分
第十八番札所 紫雲山 六角堂頂法寺
  • 鉄道
    • JR京都線京都駅下車、地下鉄烏丸線約6分烏丸御池駅下車、徒歩約3分。または阪急烏丸駅下車、徒歩約6分
第十九番札所 霊麀山 革堂行願寺
  • 鉄道
    • JR京都線京都駅より地下鉄烏丸線約8分丸太町駅下車、徒歩約7分
第二十番札所 西山 善峯寺
  • 鉄道
    • JR京都線向日町駅または阪急京都線東向日駅より阪急バス66番「善峯寺」行き約30分、「善峯寺(終点)」下車、徒歩約8分
第二十一番札所 菩提山 穴太寺
  • 鉄道
    • JR嵯峨野線亀岡駅より京阪京都交通バス「穴太寺前」行き約19分、「穴太寺前」下車すぐ。または「京都先端科学大学」行き約18分「穴太口」下車徒歩約10分
第二十二番札所 補陀洛山 総持寺
  • 鉄道
    • JR京都線JR総持寺駅より徒歩約5分
    • 阪急京都線総持寺駅より徒歩約5分
第二十三番札所 応頂山 勝尾寺
  • 鉄道
    • JR大阪駅または阪急電車梅田駅から大阪市営地下鉄御堂筋線で約21分、千里中央駅下車、阪急バス29系統で約31分、「勝尾寺」下車すぐ
第二十四番札所 紫雲山 中山寺
  • 鉄道
    • 阪急電車中山観音駅下車、徒歩すぐ
    • JR中山寺駅下車、徒歩約10分
第二十五番札所 御嶽山 播州清水寺
  • 鉄道
    • JR宝塚線相野駅下車、神姫バス約35分(1日2本)「清水寺」下車すぐ
第二十六番札所 法華山 一乗寺
  • 鉄道
    • JR神戸線姫路駅より神姫バス「法華山一乗寺」経由「社」行き約35分、「法華山一乗寺」下車すぐ
    • JR神戸線宝殿駅下車、タクシー約15分
第二十七番札所 書寫山 圓教寺
  • 鉄道
    • JR神戸線姫路駅より神姫バス「書写ロープウェイ書写駅」行き約25分、「書写ロープウェイ書写駅(終点)下車、書写山ロープウェイ約4分山上駅下車、徒歩約15分
第二十八番札所 成相山 成相寺
  • 鉄道
    • 京都丹後鉄道天橋立駅より徒歩5分、丹後海陸交通観光船約12分、一の宮桟橋下船徒歩約5分、ケーブル府中駅より天橋立ケーブルカー約4分傘松駅下車、丹後海陸交通成相登山バス約6分「成相寺(終点)」下車
第二十九番札所 青葉山 松尾寺
  • 鉄道
    • JR小浜線松尾寺駅より徒歩約50分
    • JR舞鶴線東舞鶴駅よりタクシー約20分
第三十番札所 竹生島 宝厳寺
  • 鉄道
    • JR琵琶湖線長浜駅より徒歩約10分、琵琶湖汽船長浜港より約30分、竹生島下船
    • JR琵琶湖線彦根駅より無料シャトルバス約10分、オーミマリン彦根港より約40分、竹生島下船
第三十一番札所 姨綺耶山 長命寺
  • 鉄道
    • JR琵琶湖線近江八幡駅より近江鉄道バス・湖国バス「休暇村」または「長命寺」行き約25分、「長命寺」下車徒歩約20分
第三十二番札所 繖山 観音正寺
  • 鉄道
    • JR琵琶湖線安土駅下車、タクシーで 裏参道 東近江市五個荘側経由、山上駐車場まで約20分、徒歩約15分
    • JR琵琶湖線能登川駅より近江鉄道バス・湖国バス「八日市」行き約12分「観音寺口」下車、徒歩約50分
第三十三番札所 谷汲山 華厳寺
  • 鉄道
    • JR東海道線大垣駅より樽見鉄道約40分谷汲口下車、名阪近鉄バス・揖斐川町コミュニティバス「谷汲山」行き約8分「谷汲山」下車すぐ

CONTACT

  • 日本遺産「日本の終活の旅」推進協議会(西国三十三所札所会内)
  • TEL:075-744-6233/FAX:075-744-6236
【1300年つづく日本の終活の旅 ~西国三十三所観音巡礼~ 関連情報サイト】
  • 第一番札所 那智山 青岸渡寺
  • TEL:0735-55-0001
  • 第二番札所 紀三井山 金剛宝寺(紀三井寺)
  • TEL:073-444-1002
  • 第三番札所 風猛山 粉河寺 
  • TEL:0736-73-4830
  • 第四番札所 槇尾山 施福寺
  • TEL:0725-92-2332
  • 第五番札所 紫雲山 葛井寺
  • TEL:072-938-0005
  • 第六番札所 壷阪山 南法華寺(壷阪寺)
  • TEL:0744-52-2016
  • 第七番札所 東光山 岡寺(龍蓋寺)
  • TEL:0744-54-2007
  • 第八番札所 豊山 長谷寺
  • TEL:0744-47-7001
  • 第九番札所 興福寺 南円堂
  • TEL:0742-22-7755(寺務所)0742-24-4920(南円堂納経所)
  • 第十番札所 明星山 三室戸寺
  • TEL:0774-21-2067
  • 第十一番札所 深雪山 上醍醐 准胝堂(醍醐寺)
  • TEL:075-571-0002
  • 第十二番札所 岩間山 正法寺(岩間寺)
  • TEL:077-534-2412
  • 第十三番札所 石光山 石山寺
  • TEL:077-537-0013
  • 第十四番札所 長等山 園城寺(三井寺)
  • TEL:077-522-2238(代表)077-524-2416(札所)
  • 第十五番札所 新那智山 今熊野観音寺
  • TEL:075-561-5511
  • 第十六番札所 音羽山 清水寺
  • TEL:075-551-1234
  • 第十七番札所 補陀洛山 六波羅蜜寺
  • TEL:075-561-6980
  • 第十八番札所 紫雲山 六角堂頂法寺
  • TEL:075-221-2686
  • 第十九番札所 霊麀山 革堂行願寺
  • TEL:075-211-2770
  • 第二十番札所 西山 善峯寺
  • TEL:075-331-0020
  • 第二十一番札所 菩提山 穴太寺
  • TEL:0771-24-0809
  • 第二十二番札所 補陀洛山 総持寺
  • TEL:072-622-3209
  • 第二十三番札所 応頂山 勝尾寺
  • TEL:072-721-7010
  • 第二十四番札所 紫雲山 中山寺
  • TEL:0797-87-0024
  • 第二十五番札所 御嶽山 播州清水寺
  • TEL:0795-45-0025
  • 第二十六番札所 法華山 一乗寺
  • TEL:0790-48-2006(本坊)0790-48-4000(納経所)
  • 第二十七番札所 書寫山 圓教寺
  • TEL:079-266-3327
  • 第二十八番札所 成相山 成相寺
  • TEL:0772-27-0018
  • 第二十九番札所 青葉山 松尾寺
  • TEL:0773-62-2900
  • 第三十番札所 竹生島 宝厳寺
  • TEL:0749-63-4410
  • 第三十一番札所 姨綺耶山 長命寺
  • TEL:0748-33-0031
  • 第三十二番札所 繖山 観音正寺
  • TEL:0748-46-2549
  • 第三十三番札所 谷汲山 華厳寺
  • TEL:0585-55-2033

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1300年つづく日本の終活の旅

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1300年つづく究極の終活の旅

西国三十三所草創1300年ロゴマーク

生きとし生けるものは、いつか命の終わりを迎える。

そこで人は、自分らしい生き方、自分らしい最期を思い描く。

昨今では「終活」と称し、エンディングノートに感謝の言葉や希望の葬儀、お別れ会、遺産分配など人生を振り返って書き残し、憂い無く命を終える準備をする人が増えてきている。

しかし、そればかりが「終活」であるとは言いがたい。なぜなら、身の回りの整理ができれば、次は自らの命と向き合わなければならないからである。自分の人生と向き合うことは、老若男女関係なく、誰しもが通らなければならない道である。人は生まれ落ちた瞬間から終わりに向かって生きている。どれだけ健康で若かろうと、限りある今という瞬間をどのように生きるかを考えた時、自ずと終わりが意識される。その時、年代や性別、生活環境を超えて、不安に対する一つの支えとなるのが、日本人が1300年ものあいだ続けてきた、自分の人生に向き合う旅、西国三十三所観音巡礼なのである。

そして、今まさに、「究極の終活の旅」としての価値が見出されている。

日本で最初の巡礼、西国三十三所

日本には多くの巡礼の路があるが、西国三十三所観音巡礼は、日本で最初の巡礼である。四国八十八カ所との違いは何か。八十八カ所は山岳信仰などに由来し、海辺や山中で苦行する道を弘法大師とともに歩く修行の旅である。西国三十三所は観音菩薩の慈悲に触れる巡礼で、「遍路」とは呼ばない。板東・秩父などの国内の多くの観音霊場は、西国までの旅が叶わない人の為に、写し霊場として作られたものである。

観音菩薩は、道端で微笑むお地蔵さんとともに、「観音さん」と日本人に最も親しみをもたれてきた仏の一つであるといえよう。なぜ観音は日本人に親しまれたのか。それは、世の苦しみを心の目で観る観音の姿が、日本人のもともと持っているやさしさや真面目さ、心遣い、勤勉さといったものからくる「思いやる心」そのものであったからである。様々な事象に対しての細やかな「気遣い」や「心配り」は昨今海外の人から『O・MO・TE・NA・SHI』と評価されている。観音は、「観音経」のなかにその功徳が説かれ、生きとし生ける者のために33の姿に化身して人を救い、その人がどんな苦難に遭っても救う。それは、日本人にとってまさしく理想の姿であった。往古の日本人も慈悲の象徴である観音に憧れ、自らの心の中の観音と出会い、人生を見つめ直すために旅に出たのである。

「中山寺由来記」によれば、西国三十三所観音巡礼を始めたのは、徳道上人という僧侶であった。養老2(718)年、徳道上人は突然の病により、仮死状態に陥った。そこで冥途に赴いたところ、閻魔大王に出会う。閻魔大王はこのように告げた。「世の中が乱れ、人の心が荒んでいる。そのため、生前の悪行によって地獄に堕ちるものが多くなった。あなたは観音の教えを広め、人々を巡礼に導きなさい」。そして、33の宝印と起請文(誓いの文書)を託され、上人は現世に戻された。上人は各地の観音の霊地で閻魔大王から授かった宝印を配った。閻魔大王の約束の証である宝印を33すべての寺院で集めると、極楽浄土への通行手形となる。これが西国三十三所観音巡礼の始まりであり、現在の「御朱印」の発祥である。

一度は廃れてしまった西国巡礼であったが、徳道上人亡き後、花山法皇がお告げに従って自ら三十三所を歩み、これを再興した。その時、参詣の証に寺院に札を打ち付けたことから「札所」と呼ばれるようになり、花山法皇がそれぞれの寺で観音を称えて詠んだ歌が「御詠歌」となった。

「極楽浄土への通行手形」と閻魔大王が言ったのは、ただ御朱印を集めれば良いという意味ではない。人が西国巡礼を通して自分や他者の優しい心に触れることで、自ずと生前の行いが良くなり、結果的に極楽浄土へと導かれるという意味である。

左:巡礼の様子/右:御朱印

心を豊かにする景観、文化財

札所ごとに息をのむほどの美しい景色や度肝を抜かれるような仏像を見て、心を豊かにするのも、西国巡礼の魅力のひとつである。例えば、旅の出発点である第1番札所青岸渡寺(和歌山県那智勝浦町)では、那智の滝と朱色の三重塔の調和が美しく、水しぶきを感じながら、この上ない絶景を見ることができる。第8番札所長谷寺(奈良県桜井市)では、高さ10mを超える十一面観音が出迎える。ご開帳の際には御足に触れることができ、足元で心静かに祈りを捧げる瞬間は、観音の慈悲を感じるひとときである。

第1番札所 青岸渡寺

青岸渡寺の本堂や長谷寺の観音像は重要文化財に指定されているが、このほかにも各寺院には国宝・重要文化財クラスの宝物が多く所蔵されている。信仰の場であると同時に、日本の大切な文化財の宝庫でもあるのだ。

また、形のない文化財もある。花山法皇が詠んだ御詠歌は、五・七・五・七・七のリズムで札所の観音を称えた歌であり、現在も巡礼者によって歌われる。それは、形のない祈りの文化財である。

門前の賑わい、スイーツを通した人との出会い

充実した心の生活を送るためには、心の穏やかさに気づく必要がある。現代においては、観音巡礼のあいだ、各地のスイーツを楽しみながら参拝をするスタイルが人気である。お菓子には人を和やかにさせる力がある。お参りの後にスイーツを食べる時、「美味しいね」という会話によって人が知り合うことがある。すると、それまでまったく知らなかった人同士の心が通うのである。小さなきっかけによってお互いに信頼し、思いやる心が生まれる。そこにも日本人の心が感じられるのである。

札所の門を出ると、門前には名物や名産の店が並ぶ。かつての旅人たちは、旅の疲れを名物菓子で癒やしたことだろう。それは現代も変わらず、参詣の帰りの土産物を楽しみにしている人は少なくない。

各札所には「スイーツ巡礼」として、それぞれ認定スイーツを掲げ、甘味を楽しみながらの参詣を勧めている。例えば第13番札所石山寺(滋賀県大津市)には、琵琶湖の湖魚や蜆料理の食事処、甘味、骨董品などの土産物が並ぶ門前町がある。その中の一つ、和菓子「石餅」は、石山寺の境内にそびえ立つ硅灰石(国天然記念物)になぞらえた菓子を復刻したものである。参詣者の多くは、この「石餅」をお土産に求め、縁結びのご利益があると笑い合う姿が見られる。

食事をする人が怒っていたり泣いていたりすることはよくあるが、お菓子を食べる人が怒ったり泣いたりしていることはない。スイーツには、人を和やかにさせる力がある。次の札所にはどのような名物・名産が待つだろうと心を躍らせるのも、旅の楽しみの一つであろう。

世の苦しみを心で観る観音へと近づき、日本人本来の豊かな心に気づく旅、西国三十三所観音巡礼。「究極の終活の旅」は“自分らしい生き方”“自分らしい最期”を見つけるための拠り所となるだろう。

左:石山寺の石餅/右:石山寺の硅灰石

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